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ノモンハン紛争の問題点と
ロシアのやり口 第三回


戦闘後の両軍の対応と課題
大和タケル

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戦況を伝えた当時の新聞

急転直下の停戦合意

激戦の続いていたノモンハンで
大規模な反撃準備を整えていた日本軍の
前線兵士たちが呆気にとられるほどに
急転直下 日ソ両国は停戦に合意します
直後に発生したドイツのポーランド侵攻の
影響もあったといわれますが ここでは
停戦合意後の両軍の対応について見ていきます

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当時の新聞広告 理研ヴィタミン

両軍とも指揮官に厳しい対応

まずロシア側はノモンハンの前後を通じて
スターリンによって恐ろしい数の軍内粛清が
起こっていました

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元帥     5人中、3人
軍司令官   16人中、14人
海軍提督   8人全員
軍団長    67人中、60人
師団長    199人中、136人
旅団長     397人中、221人
将校     3500人
昭和13年6月にはリシュコフ大将は日本へ亡命

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日本に亡命したリシュコフ大将の連載手記/1938年

戦闘によるものより 遥かに大きな人数が
同志スターリンによって殺されていきます

一説ではノモンハンの指揮を執ったジューコフ将軍も
粛清のリストに入っていたとか またヒトラーの
バルバロッサ立案も この粛清によるロシア側の
弱体化を知ったためだともいわれています

佐官級も大きな損失

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一方 日本軍もここまでではないですが
指揮官たちに厳しい現実が待っていました
まず 日本軍指揮官たちの状況ですが
一部で資料が錯綜していますが だいたい
下記のようでした

戦死 
歩兵第71連隊長 森田徹大佐(8月26日)
野砲兵第13連隊長 伊勢高秀大佐(8月29日)
歩兵第71連隊長代理 東宗治中佐(8月30日)

戦場自決
第23師団歩兵第64連隊長 山県大佐、
ムーリン重砲兵連隊長 染谷中佐、
野戦重砲兵第1連隊長代理 梅田少佐

生存
野戦重砲兵第7連隊長 鷹司大佐
野戦重砲兵第1連隊長 三嶋大佐 叱責
第7師団第26連隊長 須見新一郎大佐は予備役へ

拳銃自殺
歩兵第72連隊長 酒井美喜雄大佐(9月15日)
師団捜索隊長 井置栄一中佐(9月16日)

自殺の真相は?
さて問題は拳銃自殺した酒井、井置の二人です
辻参謀の自殺強要はあったのか?という点ですが
はっきりと確認できませんでした

特に辻参謀嫌いの資料には そうなっていますし
無断撤退として罪を問われ、停戦から2週間程あとの
自殺から強要説が出たとも考えられます

ただ他に生存した指揮官がいる一方で 
この二人だけに自殺強要という話には
少し疑問が残ります
当時の軍人もそういう噂を聞いた程度の
証言が多いようです
特に井置中佐は戦場自決を一度 止められて
いるので戦友への自責の念からとも取れます



生かされなかった戦訓

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ともあれ、軍上層部がこの戦いを評価した様子は
ほとんど見られません
最大の問題は ほぼ歩兵と砲兵の部隊だけで
大機甲部隊を迎撃し ロシア側にも大打撃を与えた
この稀有の戦いの指揮官たちを賞賛するどころか 
叱責や左遷し 貴重な戦闘経験をほとんど
生かさなかった点にあります

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後方に廻すにしても 目の当たりにしたソ連軍
戦車の威力や構造等を兵器開発部局と共に
分析すれば 重戦車はともかくパンツァーファスト
のような携帯対戦車火器の必要性や重要性等は
認識できたはずですし 錬兵時に対戦車戦闘の
実践的訓練も行なえたでしょう

そうすれば南方においても M4等にああまで
苦戦することもなかったかもしれません
生き残った須見大佐は停戦協定後に
参謀本部や陸軍省がおこなった聞き取りに対して
「みんな枝葉末節の質問をするんで、私の希望
するような急所を突くような質問はひとつもない」
と述べています

ソ連侵攻で繰り返された悲劇

こうした対応が結局は チャーチルの対日参戦要請が
あったとはいえ、ロシア側の8/9からの満州への侵攻と
8/15以降の卑怯な騙まし討ちによる北方領土略奪
に繋がっていったと思います
(もっとも戦争に謀略や裏切りを用いるのは用間編の頃から
当たり前であり 備えのない方が敗れるのも歴史の常ですが)

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ソ連侵攻で虐殺された日本人たち

丹江省にあった関東軍の石頭予備士官学校の
学生3600名はソ連の満州侵攻時に やはり
機関銃と手榴弾程度で敵戦車1000両以上と戦うという 
ノモンハンと同様の状況が繰り返えされます
しかも 今度の相手はドイツとの戦いで遥かに
強化されたT-34/85などです 

背負ったランドセルにつめたダイナマイトで
肉弾攻撃をして何両かの破壊に成功
住民たちが避難する貴重な時間稼ぎをします
ですがもし このときノモンハン戦訓からの
対戦車火器があればもっとマシな戦いができた
ろうと思うと残念です

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現在 日本は対中国 対ロシアで再び厳しい対応を
取らねばならない状況となってきています
この戦いは その指標ともなるべき大きな存在
だと強く感じました


追伸 辻 政信氏については活動が多岐に渡るので
  いつか改めて載せたいと思います
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