世の中に第二次大戦に関する記事は

腐るほどあるので　ここではWW1での

戦いをいってみます 大和タケル

今回は日英同盟軍VSドイツ帝国軍との

間で行われた青島要塞攻防戦です

この戦いは　日本にとっても重要な戦

だったにも関わらず　いまや忘れられそう

になっています

そこでさっそく　このチンタオ攻略戦を

みていきましょう

まずチンタオ攻略戦の前に　ざっと状況を

振り返っておきましょう

1914年6月28日　サラエボでオーストリア＝

ハンガリー帝国継承者フェルディナント大公

が暗殺されたのを引き金として　欧州各国は

WW1に突入します

イギリスと同盟を結んでいた日本も

この大戦に参加することになります

そして陸戦では9月には　双方合わせて

250万人が激突した第一次マルヌ会戦があり

ここでドイツのシェリーフェンプランによる

突出は英仏軍により食い止められ　以後は

長い塹壕戦に入っていきます

そこで中国にあったドイツの青島要塞と

東洋艦隊の存在は　戦局の行方にも

影響を与える存在としてクローズアップ

されていきます

青島といっても島ではないです　
それと赤島　黄島もあるようですね

そんな中で日本は8月15日にドイツに

最後通告を突き付けました

(宣戦布告は8月23日だが　この8/15は

実質的に日本のWW1参戦の日であり

WW2の終焉の日でもあった)

用意周到だった日本軍

砲架を整備している様子　
表情に兵らの素朴さが表れている

神尾光臣中将指揮下の第18師団は

上陸から青島市の背後に位置する

浮山と孤山移動まで一ヵ月　

そこでの重火砲の陣地構築に更に

一ヵ月　計二か月を要して重厚なる

攻撃拠点を構築しました

これにはマキシム重機関銃の前に

あたら屍山血河を作った　日露戦争の

戦訓から十分なる砲列による火力によって

敵を打撃する方策がとられたためでした

例えば　四五式二十四糎榴弾砲

(24cmりゅう弾砲)は　その二年前に

制式化されたばかりの新型でしたが

1個中隊/4門が参加しました

パーツの移送だけで四日かかったと

いわれていますが　140門を用意した

日英軍が10月31日に射撃を開始すると

わずか数時間で目標の敵火砲の多くが

沈黙したといわれています

英軍の記述によると　日本軍は昼間は

重火器による砲撃を加え続けて

夜間になると弱めた陣地に歩兵による

襲撃を加えていく作戦だったようです

日本軍の手に落ちたチンタオ要塞

この他にもモルトケ山とビスマルク山と

称する山々には　ドイツが強力な砲兵陣地を

構築していましたが　四五式や三八式十五糎

榴弾砲の集中攻撃により　11月1日には
ビスマルク山の砲台が壊滅し11月6日に
全砲台爆破退去　そして7日にはドイツ側の
降伏文書が届けられました

周到な準備と十二分な火力　豊富な補給

WW2とは真逆な日本軍圧勝となった戦いでした

この皮肉な内容についてはまた最後に触れます

こうして　要塞攻略戦は終わりましたが

他でも戦いは展開しています

まずチンタオを離れ本国を目指していた

装甲巡洋艦シャルンホルスト,グナイゼナウ

らを主力とするドイツ東洋艦隊は11月1日

南米のチリのコロネル沖で英艦隊と交戦し

先手を取ったドイツ艦隊が英巡洋艦

グッドホープ,モンマス等を撃沈　勝利します

しかし　続く1914年12月8日のフォークランド

沖海戦にて英巡洋艦コーンウォールやグラスゴ
らの攻撃に遭いシャルンホルスト等は沈没し　
ドイツ東洋艦隊は壊滅します

日本は　この機会に航空機の軍事利用を

試していきます　帝国海軍初の水上機母艦

若宮の元にニューポールNG二型単葉1機、


モーリスファルマン 水上機型

モ式二型4機、気球1　総員348名による

初の航空隊を組織しました

それに対し独はルンプラー・タウベ偵察機を

投入しました　

砲撃目標観測を行う　この偵察機を追い払いたい

日本でしたが　下駄ばきのモーリスファルマン
MF7では90HPのタンデム複座偵察機の機動性に
敵わず空中戦にもちこむことはなかったようです

しかし　母艦と軍用機という組み合わせが

十分に使えるという後の空母運用の手応えは

つかんだようです

このルンプラー偵察機　性能eeじゃんクレクレ!

ということで　すぐに日本はドイツから二機を

購入してます

また先述の四五式24cm榴弾砲の前に作った

20cm榴弾砲は威力不足ということで　すこし前に

戦争したばかりのロシアに全部　売り払ってます

この当時の兵器類は今とまったく違う事情が

あるというか　大らかな時代だったんでしょう
(強敵と書いて"とも"と読むみたいな  ;ﾟ дﾟ)

英派遣軍の状況

上尾光臣将軍とバーナーディストン将軍　1914年9月

イギリス軍はバーナーディストン少将の指揮下で

第36シーク教徒部隊を含む1,500人の兵士らです

英軍の戦闘状況については詳しくわからなかった

んですが　興味深いのは戦死者数です

英軍は約1,500人の内160名が死亡しています

これは英派遣軍の11%に及ぶ数字です　


日本兵とシーク教系兵士らとの記念撮影

一方　日本軍は総員23,000の内　死者370名

ですからなんと　わずか1.6%程度です

ガダルカナルの死亡率が6割を超えていた

ことを考えると信じられない数値です


破壊されたビスマルク山砲台に立つ
バーナーディストン少将

逆に英軍はそれなりに厳しいポジションについた

といえるでしょう

捕虜となったドイツ兵たち

さてドイツ帝国軍なんですが守備兵3,625の内　

死者183名　負傷 150　捕虜4,715名と死傷者は
とても少ないです(同盟軍もいたため捕虜が増えた)

これは早めに陣地に固執するなとの令があった

ようで事実　ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世は

敗北が確定した後でヴァルデック総督に

1級鉄十字勲章を授与し守備隊の善戦を嘉する

勅まで発しています

また日本の捕虜となった多くのドイツ兵も

粗略に扱われず　地域住民との交流から

かえってドイツ文化が広まったり　その後

そのまま日本に居付く者まで現れました

兵站を無視して　戦線を拡大していった

40年代とは全く異なり　この戦いでは

日本軍は遅いと陰口を叩かれながらも

十分な火砲と砲弾を用意しました

またドイツ軍も退く者を敗北主義者として

射殺していたWW2とはまったく違う姿でした

それはチンタオ戦の戦訓が忘れられて

いったからかもしれません

WW1 WW2のどちらも　8/15が重要な日になって

いるのも歴史の皮肉を感じずにはいられません